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飲食店の待ち時間を短縮する方法|来店から着席までを4つに分けて減らす

公開日 情報更新日 著者 在間 理樹

ピークの時間になると入口に列ができ、「あと何分ですか」と聞かれ続ける。待ち時間を短くしたいと思っても、席を増やすのは簡単ではありません。

この記事は、行列や順番待ちができる飲食店の店主・店長に向けて、席を増やさずに待ち時間を短縮する方法 をまとめました。結論からいうと、来店から着席までの待ちを 4 つの工程に分けて時間を測り、いちばん詰まっている工程から直す のが近道です。お客様の食事の時間を削るのではなく、店の側の待ちを減らします。

待ち時間は 4 つの工程に分けると減らせる

お客様から見ると「入口に着いてから席に座るまで」はひと続きの待ち時間です。けれども店の側から見ると、その中身は 4 つの工程に分かれていて、工程ごとに時間がかかる理由が違います。

来店から着席までの待ちを 4 つの工程に分けた図。01 受付の列、02 前のお客様の食事、03 片付けと空席の把握、04 呼び出しと案内
  1. 受付の列(来店 → 受付が済むまで):入口で 1 組ずつ名前と人数を聞いていると、受付そのものに列ができる
  2. 前のお客様の食事(受付 → 席が空くまで):注文を取る・料理を出す・会計をするのが遅れると、席が空くのも遅れる
  3. 片付けと空席の把握(お客様が帰る → 次の組を呼べるまで):空いた席に気づくのが遅れたり、片付けの担当が決まっていなかったりすると、空席のまま時間が過ぎる
  4. 呼び出しと案内(呼ぶ → 席に着くまで):店の外で待つお客様に声が届かない、呼んでも来ない組を探す、といった時間がかかる

「人気だから仕方ない」と思われがちな待ち時間も、分けてみると 3 と 4 のように 席が空いているのにお客様が座れていない時間 が意外に含まれています。この時間は、席を増やさなくても段取りで減らせます。

お客様もこの時間に気づいています。株式会社DFA Robotics が週に 3 回以上外食する 20〜50 代の 109 名に聞いた 2024 年 7 月の調査では、飲食店の待ち時間でストレスを感じる場面として「食べ終わった後の空席があるのに片付けがされず待たされる」が 41.3% で、3 番目に多く挙がりました(株式会社DFA Robotics「飲食店の待ち時間に関する意識調査」(PR TIMES))。

まず 1 週間、工程ごとの時間を記録する

どの工程から手を付けるかは、勘ではなく時間を測って決めます。新しい道具は要りません。ピークの時間だけ、受付表の端に 4 つの時刻を書き足します。

ピークの時間に、番号・人数・受付・前の組が帰った・呼んだ・着席の時刻を書き足す記録表の記入例

記録の手順は次のとおりです。

  1. 受付表に「受付」「前の組が帰った」「呼んだ」「着席」の 4 つの欄を足す(紙の端に書き足すだけでかまいません)
  2. 平日と週末のピークの時間(昼なら 11:30〜13:30 など)だけ、1 週間ほど記入する
  3. 1 日の終わりに、組ごとに「前の組が帰った → 呼んだ」と「呼んだ → 着席」の分数を出す

見るのは、工程ごとの時間です。上の記入例では、4 名の 13 番は「前の組が帰った → 呼んだ」が 8 分、「呼んだ → 着席」が 6 分かかっています。大きなテーブルの片付けと、全員がそろうまでの時間で待ちが延びていることが分かります。

  • 「前の組が帰った → 呼んだ」が長い → 片付けと空席の把握を見直す(工程 3)
  • 「呼んだ → 着席」が長い → 呼び出しの方法とルールを見直す(工程 4)
  • どちらも短いのに待ちが長い → 前のお客様の食事の流れ(工程 2)か、そもそもの席数と来店数の差

工程ごとの待ち時間の短縮策

記録で詰まっている工程が分かったら、その工程の対策から試します。工程ごとの主な短縮策は次のとおりです。

工程

時間がかかる主な理由

短縮策

費用

1 受付の列

1 組ずつ名前と人数を聞いて書く

番号札で受ける、受付の方法を掲示する、セルフ受付にする

0 円〜

2 前のお客様の食事

着席してから注文を決める、会計に人が足りない

待っている間にメニューを渡す、ピークだけメニューを絞る、会計の担当を決める

0 円〜

3 片付けと空席の把握

片付けの担当がいない、空いた席に気づかない

片付けの担当と手順を決める、空いたらすぐ伝える合図を決める

0 円

4 呼び出しと案内

声が届かない、呼んでも来ない

番号で呼ぶ、来ない場合のルールを掲示する、スマホに通知する

0 円〜

1 受付の列を短くする

入口での受付は、1 組あたりの時間は短くても、ピークには何組も重なって列になります。受付で聞くことを減らすのが基本です。

  • 受付表には名前ではなく 番号と人数 だけを書き、番号札を渡す
  • 「人数をご記入ください」「番号でお呼びします」と受付の方法を入口に貼り、口での説明を減らす
  • 来店が多い店は、お客様が自分で受付できるタブレットの受付にする

2 前のお客様の食事の流れを早める

お客様の食事の時間そのものは、急がせずに残します。短くするのは、お客様が店を待っている時間(注文を取りに来るまで、料理が出るまで、会計まで)です。

  • 待っている間にメニューを渡し、着席したらすぐ注文を伺う
  • ピークの時間だけ、品数を絞ったメニューや、すぐ出せるセットを用意する
  • 食べ終わったお客様の会計で待たせないよう、ピークは会計の担当を 1 人決める
  • 料理を出し終えたタイミングで「ご注文はおそろいですか」と声をかけ、追加の注文と会計を早めに伺う

3 片付けと空席の把握を早める

空いた席がすぐに次のお客様の席にならないのは、多くの場合 誰が片付けるか決まっていない ことが原因です。

  • ピークの時間は、片付けを最優先にする担当を 1 人決める
  • 片付けの手順を「食器を下げる → テーブルを拭く → 卓上の調味料と紙ナプキンを整える」の 3 つに決め、トレーと布巾を決まった場所に置く
  • お客様が席を立ったら、片付けの担当が受付の担当に「◯番テーブル空きます」と伝える合図を決める
  • 2 人席を組み合わせて大人数の席を作る、カウンターを案内できる組には「カウンターでもよろしいですか」と受付で聞いておく

4 呼び出しから着席までを早める

呼んでから席に着くまでの時間は、お客様が店の近くにいるかどうかで大きく変わります。待つ場所と呼び出しのルールを、受付の時点で伝えておきます。

  • 名前ではなく番号で呼ぶ。店の外で待つ組には、どこで呼ぶかを受付で伝える
  • 「お呼びして 5 分お越しがない場合は、次の方を先にご案内します」のように、来ない場合の扱いを掲示する
  • お連れ様がそろってからの案内にするかを決めて掲示する
  • お客様に店の近くを離れて待ってもらう店は、順番が近づいたらスマホに知らせる仕組みにする

掲示の見本を用意しました。待つ時間(5 分)は、お店に合わせて書き換えてください。

待ちの列に向けた掲示の見本 2 枚。順番が来たら番号でお呼びします、5 分お越しがない場合は次の方を先に案内。お待ちの間にメニューをどうぞ

コピーして使えるように、文面も載せておきます。

順番が来たら番号でお呼びします

お呼びして 5 分お越しがない場合は、次の方を先にご案内します。お戻りになったらスタッフにお声がけください。

お連れ様がおそろいになってからのご案内です。

お待ちの間にメニューをどうぞ

ご注文をお決めいただくと、お席ですぐに伺えます。メニューはお席でお返しください。

順番が前後したときの説明の仕方は、待ち時間のクレーム対応で場面別に紹介しています。

回転率を上げすぎない

待ち時間の短縮は、回転率を上げることと結び付けて語られがちです。回転率は、1 日に客席が何回入れ替わったかを表す数字で、「お客様の数 ÷ 客席数」で求めます。たとえば客席が 20 席の店に 1 日 100 人が来店すれば、回転率は 5 回です(Square「計算式で攻略!飲食店の売り上げを左右する回転率」)。

ただし、回転率を上げようとして お客様の食事の時間を削る と、逆効果になることがあります。

  • 食べ終わる前に皿を下げる、時間の制限を急に設けるといった対応は、お客様に急かされている印象を与える
  • 追加の飲み物やデザートの注文を伺う前に席を立ってもらうことになり、客単価が下がることがある
  • ゆっくり過ごせることが強みの店では、回転率より客単価を重視した方が合う

この記事で紹介した対策は、どれも 店の側の待ち を減らすものです。空いた席を早く次のお客様の席にし、呼んだら早く座ってもらう。お客様の食事の時間に手を付けずに、待ち時間を短くできます。

実際の時間と一緒に、待ち時間の感じ方も短くする

工程を直しても、ピークの待ちが 0 分になるわけではありません。同じ 20 分でも、先が見えない待ちと、あと何組か分かる待ちとでは、お客様の感じ方が違います。実際の時間を短くする対策と一緒に、待ち時間を短く感じてもらう工夫 も入れておきます。

冒頭の節で紹介した DFA Robotics の調査でも、ストレスを感じる場面の 1 番目は「待ち時間がわからないまま待たされる」(60.6%)でした。ストレスを感じにくくなる対応では「店員から待ち時間があとどれくらいか具体的に伝えてもらう」が 45.9% で最も多く挙がっています。

  • 待ち時間の目安と、今の待ち組数を入口に出す
  • 「あと 2 組でご案内です」と、途中で状況を伝える
  • 待っている間にメニューを見てもらう、楽しめるものを用意する

待っている時間そのものを楽しんでもらうアイデアは待ち時間を楽しませる工夫で、スマホで遊べる待ち時間対策のゲームはアソベルのページで紹介しています。行列ができたときの対策の全体像は、飲食店の行列対策ガイドにまとめています。

受付と呼び出しを仕組みにするなら

工程 1 の受付と工程 4 の呼び出しは、仕組みに任せやすい工程です。アソベルは、店頭のタブレットでお客様が自分で受付し、QR コード付きの整理券を受け取れる順番待ちシステムです。お客様は整理券の QR コードから、あと何組か・待ち時間の目安をスマホで確かめられます。

アソベルの管理画面。現在の待ち 4 組、推定待ち時間 約 50 分が表示され、番号ごとに人数・テーブルかカウンターか・待ち時間と、不在・再呼出・案内完了・呼び出すのボタンが並んでいる

スタッフは管理画面で、待っている組の人数・受付時の質問への回答(テーブルかカウンターかなど)・待ち時間を 1 画面で見ながら、呼び出し・順番の入れ替え・不在の扱いを行えます。空いた席に合う組を選んで呼べるので、工程 3 の「空いたのに呼べない」時間も減らせます。

受付と整理券の発行、呼び出し・順番の管理、店内のモニターでの番号表示は無料プランから使えます。メール・プッシュ通知・LINE での呼び出しの通知と、日別・時間帯別の受付数や待ち時間の分析はスタンダードプランの機能です。機能の詳細はアソベル「機能紹介」、プランごとの機能と料金は「料金プラン」をご覧ください。

参考資料

まとめ

  • 来店から着席までの待ちは、受付の列・前のお客様の食事・片付けと空席の把握・呼び出しと案内の 4 つの工程に分かれる
  • ピークの時間に 4 つの時刻を 1 週間記録し、いちばん詰まっている工程から直す
  • 片付けの担当と手順、空いたことを伝える合図、呼んでも来ない場合のルールは、費用をかけずに今日から決められる
  • 回転率を上げようとしてお客様の食事の時間を削らず、店の側の待ちを減らす
  • 実際の時間と一緒に、待ち組数や目安を伝えて待ち時間の感じ方も短くする

アソベルは無料プランから試せます。まずはピークの時間に、受付と呼び出しをタブレットに任せてみてください。

よくあるご質問

Q飲食店の待ち時間を短縮するには、何から始めればよいですか?
A

ピークの時間に、受付・前の組が帰った・呼んだ・着席の 4 つの時刻を受付表の端に 1 週間ほど書き足し、どの工程で時間がかかっているかを確かめることから始めます。片付けに時間がかかっているなら片付けの担当と手順を、呼んでから来るまでが長いなら呼び出しのルールを、と詰まっている工程から直すのが近道です。

Q回転率を上げれば、待ち時間は短くなりますか?
A

前のお客様の食事が早く終われば席は早く空くので、待ち時間は短くなります。ただし、食事を急がせると満足度や追加の注文が減ることがあります。お客様の食事の時間には手を付けず、注文・料理の提供・会計・片付けといった店の側の待ちを先に減らすのがおすすめです。

Q呼び出しても来ないお客様には、どう対応すればよいですか?
A

「お呼びして 5 分お越しがない場合は、次の方を先にご案内します」のように、待つ時間と順番の扱いを受付の時点で掲示しておきます。戻ってきたお客様は、次に空いた席へご案内すると決めておくと、スタッフが店の外まで探しに行く時間と、ほかのお客様の待ち時間を減らせます。

この記事を書いた人

在間 理樹合同会社Y.G.Tクリエイト 代表

合同会社Y.G.Tクリエイト代表社員。飲食店向けの順番待ち整理券サービス「アソベル」の運営統括責任者。慶應義塾大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社で業務アプリケーション開発と業務運用改善プロジェクトのPMOに従事。2024年からゲーム開発を始め、16th Unity Awards、ニコ生自作ゲームフェス敢闘賞を受賞。業務改善とゲーム開発の経験をもとに、待ち時間を楽しめるお店の仕組みづくりに取り組んでいる。