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行列・待ち時間対策#クレーム対応

店外の行列で近隣から苦情が来たら|飲食店の防ぎ方と対応の手順

公開日 情報更新日 著者 在間 理樹

行列は人気の証しですが、店の外に伸びた列は、近隣の住民や隣の店にとって迷惑になることがあります。苦情を放っておくと関係がこじれ、営業を続けにくくなることもあります。

この記事は、店外の行列について近隣から苦情を受けた、または受けそうな飲食店の店主・店長に向けて、やることを 苦情が来る前・来たとき・仕組みで減らす の順にまとめました。結論からいうと、並ぶ場所と時刻を決めて掲示し、苦情は記録して改善案と結果まで伝え、店の前に人を並ばせない形に変えていく のが基本です。

行列への対策の全体像は、飲食店の行列・順番待ち対策の完全ガイドで紹介しています。

店外の行列で苦情になりやすい 5 つのこと

近隣の苦情のきっかけは、行列そのものより、列に付いてくる困りごとです。まずは自分の店でどれが起きているかを確かめます。

行列で苦情になりやすい 5 つのことの表。通行の妨げ・話し声と物音・ごみ・敷地への立ち入り・路上での喫煙について、近隣が困っていることと、お店が先にできることを並べている
  • 通行の妨げ:歩道がふさがる、住宅の玄関や車庫、隣の店の入口の前に人がいる
  • 話し声・物音:開店前の早い時間や夜の話し声、スタッフの呼び出しの声
  • ごみ:飲み物の容器や吸い殻が、店の周りに残る
  • 敷地への立ち入り:隣の駐車場や軒先で待たれる
  • 路上での喫煙:列の近くで吸われ、煙やにおいが流れる

困りごとは、近隣の方の生活の時間とぶつかったときに苦情になりやすくなります。住宅地の店は朝と夜、商業地の店は隣の店の営業時間に気を配ります。

苦情が来る前にやること

苦情が来てから対策を考えると、相手はすでに我慢を重ねています。行列ができ始めたら、次の 3 つを先に決めておきます。

並ぶ場所と時刻を決めて掲示する

床のテープやコーンで並ぶ位置と最後尾を示し、列の先頭と最後尾に「お願い」を貼ります。店の壁に沿って 1 列にし、歩道の半分以上をあけ、隣の入口や駐車場にかからない向きにします。開店のかなり前から人が集まる店は、並び始めてよい時刻も決めます。

列の先頭と最後尾に貼るお願いの掲示の見本 3 枚。お並びのお客様へ、近隣の方へのご配慮を、開店前にお越しの方へ

掲示の文面は、次の表をそのまま使えます。時刻や場所は、お店に合わせて書き換えてください。

掲示の見出し

文面

お並びのお客様へ

店の壁に沿って 1 列にお並びください。お隣の入口と駐車場の前はあけてください。

近隣の方へのご配慮を

住宅街のため、話し声はお控えめにお願いします。列での喫煙・飲食はご遠慮ください。

開店前にお越しの方へ

お並びは開店 30 分前からです。それより前の店前でのお待ちはご遠慮ください。

近隣と管理会社に連絡先を渡しておく

行列ができる店は、両隣と向かいのお店・住宅、ビルや物件の管理会社に、あいさつと一緒に店の連絡先(電話番号と責任者の名前)を渡しておきます。困ったときにまず店へ連絡してもらえれば、管理会社や行政を通す前に話し合えます。

港区は、住宅地で店舗を営業する方に向けて、開店前に近隣住民の理解を得ること、日頃からコミュニケーションをとること、苦情を受けたら「苦情者の立場に立って解決に努力しましょう」と呼びかけています(港区「住宅地で店舗等の営業を行う方へ」)。

見回りの担当と時刻を決める

列の様子は、店の中からは見えにくいものです。ピークの時間は担当を決め、時刻を決めて列を見回ります。見回るときは、次の 5 つを確かめます。

  • 列が歩道に広がったり、隣の入口や駐車場にかかったりしていないか
  • 大きな声で話している方がいないか
  • 列の近くで喫煙している方がいないか
  • 店の周りに容器や吸い殻が落ちていないか
  • 最後尾の札やコーンが正しい位置にあるか

営業の前と後にも店の周りを見て、ごみを拾っておきます。

苦情が来たときの 4 つの手順

苦情を受けたら、その場で言い返したり、お客様のせいにしたりせず、次の 4 つの手順で対応します。誰が受けても同じ順で動けるように、スタッフで共有しておきます。

苦情が来たときの 4 つの手順。1 話を聞いて迷惑をおわびする、2 記録して現場を確かめる、3 改善案と始める日を伝える、4 変わったかを確かめて報告する
  1. 話を聞いて、迷惑をおわびする:責任者が出て、話を最後まで聞きます。いつ・どこで・何が困るのかを具体的に聞きます
  2. 記録して、現場を確かめる:日時・場所・内容・相手を記録し、指摘された時間に列を見に行きます
  3. 改善案と始める日を伝える:並ぶ場所・時刻・見回りをどう変えるかを、始める日と一緒に伝えます。店の連絡先も渡します
  4. 変わったかを確かめて報告する:しばらくしてから相手に困りごとが減ったかを聞きます。減っていなければ、仕組みから見直します

苦情を言いに来た方は、言いにくいことを伝えに来ています。謝って終わりにせず、何をいつから変えるかまで伝える と、話がこじれにくくなります。

その場で使える声かけの例

場面

声かけの例

最初のひと言

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。困っていらっしゃることを詳しく教えていただけますか」

改善を約束するとき

「明日から、列を店の壁沿いに並べ直し、11 時から 14 時は 30 分おきにスタッフが見回ります」

連絡先を渡すとき

「また気になることがあれば、こちらの番号に直接ご連絡ください。責任者の〇〇が対応します」

後日の報告

「先日はありがとうございました。その後、列の様子はいかがでしょうか」

並んでいるお客様に注意するときは、「近隣の方のご迷惑にならないよう、壁沿いに 1 列でお願いします」のように、理由を添えてお願いします。待ち時間のクレームへの対応は、待ち時間のクレーム対応で詳しく紹介しています。

道路・騒音・ごみ・喫煙のルールを確かめる

行列に関わるルールは、法律と、地域ごとの条例の 2 つがあります。条例は自治体によって違うので、ここでは代表的なものを紹介します。お店の地域のルールは、自治体と管轄の警察署のページで確かめてください。

困りごと

関わるルールの例

お店で気をつけること

通行の妨げ

道路交通法第 76 条第 4 項第 2 号は、道路で「交通の妨害となるような方法で」立ち止まることなどを禁じている

歩道をふさがない並び方にする。置き看板や椅子を道路に出すときは許可の要否を確かめる

話し声・物音

東京都の環境確保条例は、飲食店営業について、午後 11 時から翌午前 6 時の騒音の基準を定めている(東京都環境局「深夜の営業等の制限」)

朝と夜の話し声、呼び出しの声の大きさに気を配る

呼び込みの拡声機

東京都では、商業宣伝の拡声機は午後 7 時から翌午前 8 時まで使えない(東京都環境局「拡声機の使用制限」)

呼び込みや呼び出しに拡声機を使うときは、時間と音量に気を配る

ごみ

廃棄物処理法第 3 条は、事業者は事業活動で出た廃棄物を自らの責任で処理するよう定めている

店のごみの出し方を守る。列の周りのごみも営業の前後に拾う

路上での喫煙

健康増進法第 27 条は、喫煙するときに望まない受動喫煙を生じさせないよう配慮を求めている。千代田区のように、路上での喫煙を条例で禁じている地域もある(千代田区「生活環境条例」)

地域のルールを確かめ、列の近くでは吸わないよう掲示する

地域で独自のルールを呼びかけている例もあります。新宿区の「新大久保ルール」は、店舗前での順番待ちや立ち止まりが通行の妨げにならないよう求めています(新宿区「『新大久保ルール』を守ってください」)。道路に物を置くときの許可の種類は、行列対策の完全ガイドの「店の外の対策」で詳しく説明しています。

判断に迷ったときの相談先

並ぶ場所が道路のルールに合っているか、騒音の基準に当たるかなどは、場所や状況で変わります。お店だけで判断せず、内容に合わせて公的な窓口に相談します。

店の前に並ばせない仕組みにする

掲示と見回りで苦情は減らせますが、列が長いほど、スタッフの手間もかかり続けます。いちばん効果が大きいのは、受付だけ済ませてもらい、順番が近づいたら呼び出す形にして、店の前に人を並ばせない ことです。お客様は近くで買い物をしたり、車で待ったりでき、近隣への影響と、暑さ・寒さの中で待つお客様の負担を同時に減らせます。

紙の整理券でも始められますが、呼び出しのたびに店の外へ声をかけに行くことになり、お客様もどのくらいで呼ばれるか分からないと、店の前で待つ方が出やすくなります。スマホで順番を確かめられて、呼び出しが届く順番待ちシステムなら、店の前で待つ必要がなくなります。呼び出しの方法の選び方は、飲食店の LINE 呼び出しで紹介しています。

アソベルは、店頭のタブレットで受付と整理券の発行ができる順番待ちシステムです。お客様は整理券の QR コードから、あと何組か・待ち時間の目安をスマホで確かめられます。スタンダードプランでは、順番が近づいたときと呼び出しのときに、メール・プッシュ通知(Android のスマホ)・LINE でお知らせできるので、お客様は店頭を離れて待てます。

お店から離れて待っているお客様のスマホに「順番になりました! 8 番 お店の入口までお戻りください」と表示された、アソベルの呼び出しの画面

待っている間は、整理券からお店オリジナルのゲームで遊んでもらうこともできます(待ち時間ゲーム)。機能の詳細はアソベル「機能紹介」、プランごとの機能と料金は「料金プラン」をご覧ください。順番待ちシステムを比べたいときは、順番待ちシステムの比較が参考になります。

参考資料

まとめ

  • 近隣の苦情になりやすいのは、通行の妨げ・話し声・ごみ・敷地への立ち入り・路上での喫煙の 5 つ
  • 苦情が来る前に、並ぶ場所と時刻を決めて掲示し、近隣と管理会社に店の連絡先を渡し、見回りの担当を決める
  • 苦情が来たら、話を聞いておわびし、記録して現場を確かめ、改善案と始める日を伝え、後日に結果を確かめて報告する
  • 道路・騒音・ごみ・喫煙のルールは地域で違う。迷ったら警察署・自治体の窓口に相談する
  • 受付と呼び出しで店の前に人を並ばせない形にすると、近隣への影響とお客様の負担を同時に減らせる

アソベルは無料プランから試せます。店頭のタブレットでの受付と整理券の発行、待ち時間に遊べるゲームを、まずは自店のピークの時間に使ってみてください。

よくあるご質問

Q店の前に行列ができるのは、法律違反になりますか?
A

並ぶことの扱いは場所や状況によって変わりますが、道路交通法は、道路で交通の妨害となるような方法で立ち止まることを禁じています。歩道をふさぐ並び方は避け、並ぶ場所や置き看板の扱いで迷う場合は、管轄の警察署や道路を管理する自治体に相談してください。

Q近隣から苦情が来たら、最初に何をすればよいですか?
A

責任者が出て話を最後まで聞き、迷惑をかけたことをおわびします。そのうえで、いつ・どこで・何が困るのかを記録し、指摘された時間に列を見に行きます。改善案と始める日を伝え、しばらくしてから困りごとが減ったかを確かめて報告します。

Q並んでいるお客様のマナーまで、お店が対応する必要がありますか?
A

近隣の方から見ると、列に並んでいるのは「お店のお客様」です。苦情はお店に届くことが多いので、話し声・喫煙・ごみ・待つ場所について掲示と声かけでお願いし、スタッフが列を見回る時刻を決めておくと、苦情を減らせます。

この記事を書いた人

在間 理樹合同会社Y.G.Tクリエイト 代表

合同会社Y.G.Tクリエイト代表社員。飲食店向けの順番待ち整理券サービス「アソベル」の運営統括責任者。慶應義塾大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社で業務アプリケーション開発と業務運用改善プロジェクトのPMOに従事。2024年からゲーム開発を始め、16th Unity Awards、ニコ生自作ゲームフェス敢闘賞を受賞。業務改善とゲーム開発の経験をもとに、待ち時間を楽しめるお店の仕組みづくりに取り組んでいる。