飲食店のリピーターを増やす方法|来店前から来店後まで5段階の施策

「初めてのお客様は来てくれるのに、2 回目につながらない」。リピーターを増やそうとクーポンやポイントカードを始めても、思ったほど常連が増えないことがあります。
この記事は、個人店から小規模チェーンまでの飲食店の店主・店長に向けて、リピーターを増やす方法 を来店の流れに沿ってまとめました。結論からいうと、来店前・待っている間・食事・会計と見送り・来店後の 5 段階で、それぞれ「もう一度来たくなる理由」を作る のが近道です。割引で呼び戻す前に、初めての来店で嫌な思いをさせていないかを見直します。
リピーターを増やすには、来店の流れ全体を見直す
お客様の外食の多くは、すでに行ったことのあるお店です。ホットペッパーグルメ外食総研が首都圏の 20〜64 歳に聞いた 2019 年の調査では、直近 1 週間の外食のうちリピート利用が 77.3%、初回利用が 22.7% でした。リピートの理由は「料理がおいしい」が 69.6% と突出し、「コストパフォーマンス」が 48.6% で続いています(ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(PR TIMES))。
料理と価格に加えて、接客の印象も次の来店を左右します。株式会社NEXER と研修・覆面調査のクリエイティブアルファが、小売・飲食・サービスのお店を利用する全国の 500 人に聞いた 2026 年 6 月の調査では、接客が良くて「また来たい」と思った経験がある人は 40.0%、接客が悪くて「二度と利用しない」と思った経験がある人は 52.8% でした(株式会社NEXER Group「接客体験とリピート・離反行動に関するアンケート」(PR TIMES))。
料理と価格はお店の土台です。そのうえで、リピーター向けの施策というと来店後のクーポンや LINE の配信が先に思い浮かびますが、「また来よう」と思うかどうかは、お店にいる間の体験で決まる部分が大きいはずです。料理がおいしくても、待ち時間や接客で嫌な思いをすると、次の来店は遠のくことがあります。
そこで、来店の流れを 5 つの段階に分けて、それぞれでお客様に何を感じてもらいたいかを決めます。

段階 | お客様に感じてもらいたいこと | 主な施策 | 費用 |
|---|---|---|---|
1 来店前 | 混み具合が分かり、安心して来られる | 混雑の目安を店頭・SNS・Google のお店の情報に載せる | 0 円 |
2 待っている間 | 待ちが苦にならない | あと何組かを伝える、待ち時間を楽しめるものを用意する | 0 円〜 |
3 食事 | 覚えてもらえている | 2 回目のお客様に気づく、好みをメモする | 0 円 |
4 会計・見送り | 次に来る理由がある | 次回の楽しみを 1 つ伝える、見送りの一言を決める | 0 円 |
5 来店後 | 思い出すきっかけがある | LINE 公式アカウント・クーポン・アンケート | 0 円〜 |
表のとおり、1〜4 の段階の施策は、ほとんど費用をかけずに今日から始められます。来店後の施策は、1〜4 で「また来たい」と思ってもらえていて初めて効きます。順番に見ていきます。
来店前:混み具合と待ち方を先に知らせる
初めてのお客様が 2 回目に来るかどうかは、「次も入れそうか」の見込みにも左右されます。前回長く待ったお客様は、混んでいる時間を避けたくても、いつ空いているかが分からなければ足が向きません。
混む時間と待ち方を、来店前に見える場所に出しておきます。
- 店頭:入口に「混雑の目安」を貼る。前回待ったお客様が、次に来る時間を選べる
- SNS:混んでいる日は「ただいまの待ち 3 組・20 分ほど」のように投稿する
- Google のお店の情報:営業時間と一緒に、混みやすい時間と受付の方法を書いておく
混雑の目安の掲示の見本です。時間と組数は、お店の受付の記録に合わせて書き換えてください。

コピーして使えるように、文面も載せておきます。
混雑の目安
平日 12:00〜12:45 は 20 分ほどお待ちいただくことがあります。13:15 以降は比較的すぐにご案内できます。土日は 11:30 の開店直後がおすすめです。
お待ちの間は、番号でお呼びします。
ただいまの待ち(12:10 現在):3 組
20 分ほどでご案内できる見込みです。受付は店頭でどうぞ。13:15 以降は比較的すいています。
混む時間を知るには、ピークの時間に受付と案内の時刻を記録するのが確実です。記録の取り方は飲食店の待ち時間を短縮する方法で紹介しています。
待っている間:待ち時間を嫌な記憶にしない
初めてのお客様にとって、入口での待ち時間はお店の第一印象です。待たせること自体は避けられなくても、「先が見えない」「後から来た人が先に案内された」といった不安や不公平を感じさせると、その記憶が料理の印象より強く残ることがあります。
株式会社DFA Robotics が週に 3 回以上外食する 20〜50 代の 109 名に聞いた 2024 年 7 月の調査では、飲食店の待ち時間でストレスを感じる場面の 1 番目が「待ち時間がわからないまま待たされる」(60.6%)、2 番目が「待っている間に他の客が先に案内される」(43.1%)でした(株式会社DFA Robotics「飲食店の待ち時間に関する意識調査」(PR TIMES))。先に紹介した NEXER などの調査でも、接客が悪くて「二度と利用しない」と思った経験がある人の 43.6% が、理由に待たされたり放置されたりしたことを挙げています(小売・飲食・サービス全体の調査で、順番待ちに限りません)。
待ち時間を嫌な記憶にしないために、次の 3 つを決めておきます。
- 先を見せる:受付のときに待ち時間の目安を伝え、途中で「あと 2 組でご案内です」と状況を知らせる
- 順番のルールを先に伝える:人数や席の種類で順番が前後することがあるなら、受付の時点で掲示しておく
- 待つ間にすることを渡す:メニューを渡して注文を決めてもらう、子どもが遊べるものや、スマホで遊べるゲームを用意する
順番が前後したときの説明の仕方は待ち時間のクレーム対応で、待っている時間を楽しんでもらうアイデアは待ち時間を楽しませる工夫で詳しく紹介しています。
待たせたお客様には、案内のときと見送りのときに 「お待たせしました」「お待ちいただいてありがとうございました」 と、待ってもらったことへのお礼を伝えます。待ち時間の最後を気持ちよく締めくくると、「待ったけれど、また来たい」と思ってもらいやすくなります。
食事:2 回目のお客様に気づき、覚えておく
「覚えてもらえている」と感じられることは、そのお店に通う理由の 1 つになります。スタッフが多いお店でも、2 回目のお客様に気づく仕組みは作れます。
2 回目のお客様に気づく
- スタンプカードやポイントカードを出してもらったら、2 個目以降のお客様に「先日もありがとうございました」と伝える
- 予約や順番待ちの受付で名前を伺っている店は、受付表で前回の来店に気づけるようにする
- 顔を覚えているスタッフがいれば、ほかのスタッフに「◯番テーブルは 2 回目のお客様です」と共有する
好みを覚えておく
- 「辛さ控えめ」「お酒は飲まない」「窓際の席が好き」など、会話の中で分かった好みを、スタッフ用のノートにメモする
- 次に来たときに「前回は辛さ控えめでしたが、今日もそういたしますか」と伺う
- メモはお客様の名前ではなく、特徴と日付で残すだけでも役立つ(個人情報を書き留める場合は、扱い方をお店で決めておく)
会計と見送り:次に来る理由を 1 つ渡す
会計と見送りは、お客様がお店で過ごす最後の時間です。満足してもらえたその場で「次に来る理由」を 1 つ渡しておくと、来店後の配信より自然に次の来店へつなげられます。
- 次回の楽しみを伝える:「来月から秋の限定メニューが始まります」のように、次に来たときに出会えるものを 1 つだけ伝える
- 待ってもらったお礼を言う:待ち時間が長かったお客様には、見送りで改めてお礼を伝える
- 混む時間を伝える:「平日は 13 時過ぎだとすぐご案内できます」と伝えると、次の来店の時間を選びやすくなる
長い会話は要りません。場面ごとに 1 言だけ決めて、スタッフ全員で同じように使います。

コピーして使えるように、文面も載せておきます。
場面 | 声かけの例 |
|---|---|
待っている間 | 「お待たせしています。あと 2 組でご案内です」 |
2 回目の来店 | 「先日もありがとうございました」 |
食事中 | 「お味はいかがですか。辛さは調整できますので、次回お申し付けください」 |
会計 | 「来月から秋の限定メニューが始まります」 |
見送り | 「お待ちいただいてありがとうございました。またお待ちしています」 |
来店後:思い出すきっかけを届ける
来店後の施策は、「また来たい」と思っているお客様に、来たくなる頃に思い出してもらうためのものです。主な手段は次の 3 つです。
手段 | 向いている使い方 | 気をつけること |
|---|---|---|
LINE 公式アカウント | 限定メニューや空いている時間のお知らせ、クーポンの配信 | 送りすぎるとブロックされやすい。月に数回までなど回数を決める |
クーポン・スタンプカード | 2 回目・3 回目の来店のきっかけ | 割引だけが理由の来店にならないよう、次回の楽しみと組み合わせる |
アンケート | 満足と不満の理由を知り、店を直す | 設問は少なく。結果を見て直したことを、店頭や SNS で伝える |
アンケートは、言ってもらえない不満を拾う手段にもなります。NEXER などの調査では、「二度と利用しない」と思った経験がある人のうち 61.4% が、接客に不満を感じたときに何も言わずに利用をやめると答えています。不満を伝えずに来なくなるお客様の声を、アンケートで先に拾います。
どの手段も、友だち登録やカードの配布は 会計と見送りのとき にお願いするのが基本です。「LINE でお得なクーポンをお送りしています」と言うより、「限定メニューが始まったら LINE でお知らせします」と、次回の楽しみと結び付けて伝えると登録してもらいやすくなります。
配信する内容も、割引だけにしないのがおすすめです。新しいメニューや、すぐ入れる時間のように「行ってみよう」と思えることを伝えます。文面の例です。
秋の限定メニューが始まりました
本日から、きのこの炊き込みご飯のセットをご用意しています。平日は 13:15 以降なら、比較的すぐにご案内できます。ご来店をお待ちしています。
どこから始めて、どう測るか
5 段階の施策を一度に始める必要はありません。まずは次のチェックで、できていない項目を探します。

- 混む時間と待ち方を店の外に知らせている
- あと何組か・待ち時間の目安を伝えている
- 待っている間にメニューや楽しめるものがある
- 2 回目のお客様に気づける仕組みがある
- 好みや前回の注文をメモしている
- 会計のときに次回の楽しみを伝えている
- 来店後に思い出してもらう手段がある
- 再来店率を月に 1 回出している
リピーターの割合を月に 1 回出す
施策が効いているかは、お客様のうちリピーターが何割いるか(再来店率)で確かめます。リピート率は「特定期間のリピート客数 ÷ 特定期間の総客数 × 100」で求めます(マネーフォワード クラウド「なぜ飲食店のリピーターが少ないのか?10のチェックと増やす方法を解説」)。人数が分からないお店は、組数で数えてもかまいません。

- 数え方を決める:会員の仕組みが無い店は、スタンプカードの 2 個目以降の押印、LINE の友だちのクーポン利用、会計のときに「以前もいらしていただきましたか」と伺うなど、「2 回目以降」が分かる印を 1 つ選ぶ
- 1 か月数える:その月の全体の組数と、2 回目以降の組数を数える
- 割合を出す:2 回目以降の組数 ÷ 全体の組数。たとえば全体 600 組のうち 2 回目以降が 210 組なら 35%(数字は計算の例)
大切なのは、毎月同じ数え方で出して、前の月と比べること です。数え方を途中で変えると、施策の効果なのか数え方の違いなのかが分からなくなります。施策を始めた月をメモしておき、その前後で割合がどう変わったかを見ます。
待ち時間の体験から再来店につなげるなら
行列や順番待ちができるお店では、2 の「待っている間」が初めてのお客様の印象を大きく左右します。アソベルは、店頭のタブレットでお客様が自分で受付し、QR コード付きの整理券を受け取れる順番待ちシステムです。お客様は整理券の QR コードから、あと何組か・待ち時間の目安をスマホで確かめられます。
さらに、待っている間に遊べるお店オリジナルのゲームを、テンプレートに写真を差し込んで作れます。ゲームの中から入店前にクーポンを配ったり、もう一度遊ぶときにアンケートを出して回答を集計したりもできます。ゲームを遊んだお客様のうち、はじめて遊んだ人と前にも遊んだことがある人の内訳も、管理画面で確かめられます。

受付と整理券の発行、呼び出し・順番の管理、ゲームの作成とプレビューは無料プランから使えます。ゲームの正式公開、クーポン、新規とリピーターの集計、アンケートの集計はゲーム単体プランとスタンダードプランの機能です。ゲームの種類は待ち時間対策のゲーム、機能の詳細はアソベル「機能紹介」、プランごとの機能と料金は「料金プラン」をご覧ください。
参考資料
- ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&リピート要因調査」(PR TIMES)
- 株式会社NEXER Group「接客体験とリピート・離反行動に関するアンケート」(PR TIMES)
- 株式会社DFA Robotics「飲食店の待ち時間に関する意識調査」(PR TIMES)
- マネーフォワード クラウド「なぜ飲食店のリピーターが少ないのか?10のチェックと増やす方法を解説」
まとめ
- リピーターを増やすには、来店前・待っている間・食事・会計と見送り・来店後の 5 段階で、もう一度来たくなる理由を作る
- 来店前は混雑の目安を知らせ、待っている間は先を見せて、待ちを嫌な記憶にしない
- 食事では 2 回目のお客様に気づいて好みを覚え、会計と見送りでは次回の楽しみを 1 つ伝える
- LINE やクーポンなど来店後の施策は、お店で「また来たい」と思ってもらえて初めて効く
- 再来店率は毎月同じ数え方で出し、施策を始めた月の前後で比べる
アソベルは無料プランから試せます。まずは受付をタブレットに任せて、待っているお客様に「あと何組か」が見えるようにしてみてください。
よくあるご質問
Q飲食店のリピーターを増やすには、何から始めればよいですか?
まず来店の流れを、来店前・待っている間・食事・会計と見送り・来店後の 5 段階に分けて、できていないところを探します。費用をかけずに今日から始められるのは、混雑の目安を店頭や SNS に載せること、待っているお客様に「あと何組か」を伝えること、会計で次回の楽しみを 1 つ伝えることです。
Qリピーターの割合(再来店率)は、どうやって出しますか?
1 か月のお客様の組数のうち、2 回目以降の組数が何割かを出します。たとえば全体 600 組のうち 2 回目以降が 210 組なら 35% です。会員の仕組みが無い店は、スタンプカードの 2 個目以降の押印や、会計時に「以前もいらしていただきましたか」と伺って数える方法があります。毎月同じ数え方で出し、前の月と比べることが大切です。
Qクーポンを配ればリピーターは増えますか?
クーポンは来店のきっかけにはなりますが、料理や接客、待ち時間の体験に不満が残っていると、割引が終わると来なくなりがちです。クーポンは「次にまた来たい」と思える体験を作ったうえで、思い出してもらうための手段として使うのがおすすめです。
この記事を書いた人
在間 理樹合同会社Y.G.Tクリエイト 代表
合同会社Y.G.Tクリエイト代表社員。飲食店向けの順番待ち整理券サービス「アソベル」の運営統括責任者。慶應義塾大学経済学部を卒業後、アビームコンサルティング株式会社で業務アプリケーション開発と業務運用改善プロジェクトのPMOに従事。2024年からゲーム開発を始め、16th Unity Awards、ニコ生自作ゲームフェス敢闘賞を受賞。業務改善とゲーム開発の経験をもとに、待ち時間を楽しめるお店の仕組みづくりに取り組んでいる。

